2008年2月から8月までの全10回、「アニカン」にて掲載されておりました大好評のこのコラム、見逃してしまった方に朗報です!! 「図書館戦争」のスタッフ・キャスト陣が、アニメ化を記念して「この本を守りたいッ!」をテ-マにつないできました「リレ-コラム」、なんと特別に公式サイトにて再録です!! しかも再録スペシャルとして特別に、折口マキを演じた田中理恵さんのコラムも!公式サイトのみの掲載です!

今回は、第7回から最終第10回までを追加更新しました!(2008/12/31)

特別編 田中理恵(折口マキ役)

私は、普段はあまり難しいものは読まないので、「自分が図書隊の一員だったら守りたい本」と問われてしまうとちょっと悩んでしまいますね。ただ、好きな作家さんが書いた作品や、大学の教授が書いた新書を読んだりはしますね。

そんな中で特に心に残っているのは「キノの旅」という作品ですね。私はこの作品が好きで、以前朗読劇で朗読させていただきました。その時私が読んだのは「レールの上の三人の男」という作品と、「大人の国」という作品なのですが、すごく心に残っていますね。

朗読するにあたって原作を読んだのですが、前述の通り、私は普段は漫画原作のものを読むことが多いのですごく新鮮な感じがしました。何と言うか、世界観がとても自分と合っていて、すっとその中へ入り込んでしまう感じがしました。なかなかここまでのめり込める作品に出会えると言うことは多くはないと思うので、すごく良い作品に巡り会えたなぁと嬉しく思っています。しかもその作品に朗読という形で関われたことも私にとっては大変光栄な事です。

そんなわけで、私が図書隊だったら守りたい本は「キノの旅」ですね。

第一回 図書館戦争製作委員会

今月より、このコーナーで『図書館戦争』のコラムを連載していきます。「『図書館戦争』ってそもそもなんだ?」と思った方にちょっとご説明を。現在『墓場鬼太郎』(鼻息が荒くてヒネクレ者の鬼太郎が話題!)を放送しているフジテレビ深夜枠“ノイタミナ”で、4月から始まる注目の新番組です!原作は、有川 浩によるシリーズ累計52万部の大人気小説。『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズなどの硬派な作品で知られるプロダクションI.G 9課がアニメーションを制作します。ラブコメです。……? ラブコメ? 最後の一言で混乱したまま気になりっぱなしの方、カオス状態キープしてキャストの発表へ行きましょう!

笠原 郁:井上麻里奈/堂上 篤:前野智昭/小牧幹久:石田 彰/手塚 光:鈴木達央/柴崎麻子:沢城みゆき/玄田竜助:鈴森勘司/稲嶺和市:佐藤晴男

ということで、強引に駆け足だったのは、来月から、この素晴らしいキャスト&スタッフの皆さんによるリレーコラムが始まるからです。タイトルはズバリ、「図書館戦争 -この本を守りたいッ!-」(失礼!上にデカデカとロゴがありました)。皆さんに、それぞれの心に残っている本への熱い想いを綴ってもらいます。「図書館で戦争してラブコメってどういうことだ?」と悩み中の方も、少しずつその謎が解けていくと良いな、と。より混乱が増すかもしれませんが!どうぞお楽しみに!!

※2008年2月20日時点でのシリーズ累計部数です。現在はシリーズ累計125万部になっております。

第二回 古怒田健志(シリーズ構成)

んー、どうしようかな……。

「自分が図書隊の一員だったら守りたい本」というのは、読書家ではない私にとってはいささか悩ましいお題です。「守りたくない本」ならあるんだよね。ほこりを被った「愛国心」とやらを声高に喧伝する暑ッ苦しいマンガとか、特定の国家民族への敵愾心を煽る本だとかは、書店の棚で見かける度に良化隊員になって検閲したい、いや、『華氏451』のサラマンダー部隊になって焼いてしまいたい衝動に駆られるのだけど……。いやいや、いけません。すべての表現の自由は守られるべきであります。

自分が感銘を受けた本、でよいのなら、高校生のときに読んだサマセット・モームの『月と六ペンス』を挙げましょうか。この小説は、19世紀の画家ポール・ゴーギャンをモデルにした天才画家の傍若無人な生き方とその破滅を、現実的で平凡な価値観で生きる作家の視点で描き、果たしてどちらの人生に本当の価値があるのかを問いかけてきます。当時いわゆる「中二病」というやつを罹患して「学歴社会なんかに埋没してたまるかいッ、人生の価値はやっぱ芸術だぜ!」と浅薄な芸術至上主義に陥っていた自分は後頭部を激しく殴られたような衝撃を感じました。将来アニメを作る仕事に関わってみたいと思っている10代の人にはぜひ読んで欲しいなぁ。同じモームの『人間の絆』にも同様のテーマが扱われているので、併せて読むとさらによろしいのではないかと思います。

モームのファンになったらいつの日か、彼がこよなく愛したホテル・ラッフルズのバーで名物のシンガポール・スリングを飲みましょう。……いや、私もまだ実現できていない夢なのですけどね……。

第三回 徒花スクモ(キャラクター原案)

検閲のある社会というのが、まずご勘弁願いたいのですが……もしそんな時代になってしまったら、私が守りたい本という事で書棚を眺めながらあれこれ思案してみました。

うーん、やはりコレでしょうか。「図書館戦争シリーズ4巻+別冊図書館戦争Ⅰ」私がはじめてカバーイラストを手がけさせていただいた記念すべきシリーズです。イラスト製作の苦労もあって、思い入れもひとしおでして。依頼を頂いた時、仕事を請けるかどうか散々悩んだこと、絵のアイデアが浮かばず、現実逃避も兼ねて深夜に15kmほど散歩したこと。締め切り直前にパソコンが壊れてしまい、友人のPCを借りて作業した事。行きつけのファミレスが潰れたこと。あと、チャリンコ盗まれた。今となっては、何もかもみな懐かしい……。

最近描かせていただいた別冊図書館戦争のカバーイラストはベタ甘要素満載との事でしたので、「それは無いだろう」ってくらい直球のハートにしてみました。そしたら先日、完成した装丁を見せていただいたら、すっげ! 真っ赤になってる! あの赤は私の仕業じゃないですよ。装丁デザイナーの鎌部さんが被せてきたんです。ナイス鎌部さん。

4月からのアニメは私もすごく楽しみにしてます。放映当日はテレビの前で正座して待ちますよ。この日のためにHDDレコーダも買って準備万端です!

第四回 前野智昭(堂上 篤役)

メディア良化法も完全にフィクションだとは言えない今日ですが、やはり表現の自由というのはいつの時代でも守られるべきであると僕個人は思います。

検閲から守りたい本!これは挙げたらきりがないのですが、2つに絞りました。

何と言っても最初にくるのは鳥山明先生の「ドラゴンボール」!8歳の時に5つ年上の姉と一緒にドラゴンボールの世界にはまり、その頃から、こういう世界を「声優」なら「声」で表現出来るのか!と、声優という職業に対して、初めて憧れを抱いた、まさに僕の原点とも言えるべき作品なのです。

そして、漫画好きの僕が初めて小説も面白い!と思えた作品が宗田理先生の「ぼくらシリーズ」。映画化もされた「ぼくらの七日間戦争」はご存知の方も多いと思います。大人を相手に戦う彼らの純粋な気持ちには、とても共感しました。

本に限らず、様々なメディアから得た感情は、表現者として掛け替えのない財産です。「これらの表現はいつまでも自由であって欲しい」。図書館戦争の世界で、堂上篤を演じて更にそう思った、僕の切実な想いです。

第五回 小出祐介(Base Ball Bear)

突然ですけど、アニメ超面白いっすね!!!原作は勿論読んでますけど、郁や堂上が動いてる姿を観るたびに興奮してしまいます!!!こんな面白いアニメに参加させて頂いて、ほんとに光栄です!!!リレーコラムまで回ってきちゃったってことは、こりゃもう、ファミリーですね!!!あざーす!!!

さて、僕が守りたい本は戸梶圭太さんの「闇の楽園」です。この作品と伊坂幸太郎さんの「オーデュボンの祈り」は平成の2大デビュー作だと思ってます。

なぜ「闇の楽園」をチョイスしたかというと、初めて読んだときすごいショックを受けたんですね。元々本を読む方ですけど、本当に「こんな本読んだ事ない」と思ったんです。本筋に絡まない登場人物がやたら多いプロットだったり、「ホラーテーマパークを作る」というストーリーの発想。何より戸梶さんの圧倒的な文章力に大ショックでした。スピード感だったりとか、展開の大口さにビックリするし爆笑します。舞城王太郎さんに近いものがあるとは思うんですけど、バイオレンスに圧倒的です。同じように伊坂さんにもショックを受けたんですけど、暴力的にショックだったのが戸梶さんです(笑)。この「闇の楽園」の手法は戸梶さんが得意とするパターンでして、これをさらに発展させたのが「自殺自由法」という大傑作です。こちらもおすすめです!

話は図書館戦争に戻りますけど、小牧くんと鞠江ちゃんのエピソードが超好きです。あれをアニメで観たらきっと号泣するなぁ。原作でももち号泣したんですけどね(笑)。このあとの展開も楽しみにしてます!!

エンディング曲「changes」
2008年5月8日/TOCT-22292/1,000円(税込)

第六回 高橋 瞳

どうも。こんにちは。毎週楽しく拝見しています。

原作を読んでからも、アニメを見ていても思うことがあるんですが、もしも自分が検闘のある世界に存在したら ― 自由を失うわけですよね?頭おかしくなっちゃうだろうなあ。間違いないです(笑)。

「図書館戦争」を読んで、自由を失うって本当に恐いことなんだと改めて実感したので。私たちにとっては日常的なことかも知れませんが、選べる自由って幸せです。

さて、そんな「私の守りたい本」。選ぶのが大変だけど、今日の私なら嶽本野ばらさんの「ミシン」を選びます。私は、この「ミシン」の中の「世界の終わりという名の雑貨店」というお話が大好きで。恋愛小説なんて滅多に読まないのですが、このお話は初めて恋愛というものが素晴らしいものなんだなあと思わせてくれた作品でした。女の子に生まれてきたのに何年か損をした気分にもなりました(笑)。

このお話、すごく“本物のにおい”がするんです。何わけわかんないこと言ってんだ?って思われるかも知れないけど……“本物の愛のにおい”がするような気がするんです。本物の愛が描かれているお話だからこそ、私は愛を胸にこの本を守りたいです。アハ。使っちゃいました(笑)。

そして愛といえば、郁と堂上教官の関係。どうなる二人!今後の展開を楽しみにしてます。ムフフフ。

オープニング曲「あたしの街、明日の街」
2008年6月4日/SRCL-6782/1,223円(税込)

第七回 鈴木達央(手塚 光役)

守りたい本ですか。本は好きなので、沢山あるんですけど、その中でも「これだけは」という本を一つ。

童心社から今も出版されている、作:松谷 みよ子 絵:瀬川 康男「いない いない ばあ」という絵本です。(1967年4月15日発行)

この本、実は僕が生まれて初めて読んだ本なんです。内容は、絵本なだけに分かりやすく、動物たちが次々に「いない いない ばあ」をしていき、最後に「のんちゃん」という子供が「いない いない ばあ」をするというもの。

幼い僕は、それを読んでもらうたびに、笑顔になって、上機嫌だったそうです。文字が読めるようになってからも、その本はずーっと読んでいまして、繰り返し読んでいたせいか、今では、背表紙は剥がれ、ページも取れてしまい、表紙の厚紙の繊維が見えるほどになってしまっているんです。痛むたびにテープ等で応急処置を施していたので、その痕も残っていたりします。物を乱雑に扱う子供ではなかったらしいので、単純に、繰り返しの末の痛みなんだそうです。

今は、実家の僕の部屋に保存してあるのですが、帰省して、部屋でこの本を見るたびに、懐かしいような、切ないような、自分の持っている言葉では言い表せない、なんともいえない温かい気持ちになるんです。余りに思いや気持ちが入りすぎていて、というか痛み方もかなりのものなので、誰にも触らせることのできない、両親と僕しか触れない特別な本でもあります。

そんな、僕の本好きの原点ともいえるこの本は、とても個人的にですが、守りたい本です。

余談ですが、「図書館戦争」に出演すると決まって、「あんたのやってる大好きな仕事で、大好きな本を守る話に出ることができるなんて、こんな嬉しいことはないよ。頑張ってきなさいね。」という風に、一番深い意味で喜んでくれたのは両親でした。

第八回 吉野裕行(手塚 慧役)

テ-マの趣旨とはズレてしまうのかもしれなけど、たぶん台本です。台本って本ってことでいいんですかね? やっぱり作品たちは多くの事を教えてくれますから。

過去を振り返ってみれば、年齢に関係なく、なにかしら作品の影響を受けたコトも確かにありました。

けど、今こうして自分が大好きな仕事に携わり、素敵な作品に出会える機会があるからこそ、あえて台本だと言いたい。

原作の有無に拘らず、それらが検閲の対象となるのなら、僕は守りたいと感じるでしょう。

恵まれた環境の中で、今触れ合っているモノ、今感じたモノを、今を生きる自分が守りたいと思っちゃいけませんかね……。

1つじゃなくてゴメンなさい~。

第九回 石田 彰(小牧幹久役)

さて「この本を守りたい」というお題ですが、どうしましょう?

基本的にそれほど読書量は多くないのですが、その時々に夢中になった本というのはあるのでどれも甲乙つけ難く「これは」という一冊に絞るのは正直難しいのです。

そんな事を言ってもしょうがないので、改めて蔵書の少ない脳内書庫を見渡してみると、手前の方に並んでいるのは十代の頃に読んでいた作家さんの作品でした。新井素子さんだったり、高千穂遥さんだったり、氷室冴子さんだったり栗本薫さんだったり、堀 辰雄(う-ん、やっぱり敬称略。国語の授業で習う名前に「さん」付けするとどうも合わない気がして)だったり……。

どの方の本も、部屋に居ながらにして未来や過去や宇宙や北海道や軽井沢やこの世とは全く別な世界やちょっと年上の大学生の気分やオトナの恋愛なんかを疑似体験させてくれて、当時から全くのインドア派だった僕の脳ミソをエンドルフェインで満たす貴重な手がかりをくれたものです。多感な時期に心を満たしてくれた本というのはやはり守るべきものでしょう。ふり返るとどうしても赤面してしまうあの頃の思い出と共に大事に残しておきたいですね。

第十回 沢城みゆき(柴崎麻子役)

“守りたいッ!”なんて強い気持ちを私が持ち合わせているか、多分臆してしまう。……身の丈にあった近い感情で“大好き!!”くらいならなんとかある気がする。しかし、読書は小さい頃からの趣味で、探し出すと……挙げたい大好きなタイトルはもう無限なのだ。ので、今回は自らの「役者」という肩書からアプロ-チして“演じてみたい!と思ったキャラクタ-がいた本”に絞って選んでみることにした。

『三番目の魔女』(レベッカ・ライザ-ト:著、森祐希子:翻訳)この役演りたい、とこんなにも思ったのは後にも先にも初めてで、本当に久々に電車の中で時間を忘れた大切な一冊。“ギリ-”、君の恐ろしくパワ-のいる人生に触れられたら。

『重力ピエロ』(伊坂幸太郎:著)(女マ-ク)である私が彼に触れることは絶対にできないのだけど、どうかチャンスがあるのなら、と恐れ多くも願ってしまった、あまりにも魅力的な“春”。

『蛇行する川のほとり』(恩田 陸:著)最後まで読み終えると、冒頭の文章がなんと壮絶であることか!ゴ-ンと衝撃を受ける。“香澄”、あなたの“愛しているわ”を口にできたらどんなにいいか。

そして、『図書館戦争』(有川 浩:著)……怖かったけど、楽しかった。ただただ、私は君が大好き!!!だ、“麻子”。